光が見える
悲しい災害やそれに伴う二次災害が起こり、人々が動揺している中、とても明るいニュースがありました。
『網膜組織 立体組織を作成、ES細胞で成功 失明回復治療に光 神戸の理研
2011年4月7日 提供:毎日新聞社
さまざまな種類の細胞になる能力をもつマウスの胚性幹細胞(ES細胞)を使い、立体的な構造となっている目の網膜組織を作ることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)が成功した。これまで網膜を構成する個々の細胞組織は作れたが、それらが組み合わさった立体的(三次元的)組織が作成されたのは初めて。まだ治療法のない「網膜色素変性症」など、目が見えなくなる病気の再生治療につながる成果として注目される。
7日付の英科学誌「ネイチャー」に論文が掲載される。笹井芳樹グループディレクターらは、マウスのES細胞を特殊な培養液で増やす際、約3000個の細胞を直径約1センチのくぼみの中で集める(凝集する)方法を開発。網膜の元になるおわん形の「眼杯(がんぱい)」に似た組織(直径0・2ミリ)を作ることに成功した。さらに培養を続けると、光を受け取る「視細胞」や、情報を伝達する「神経節細胞」など、数種の細胞が層状に規則正しく並ぶ網膜の立体構造が再現できた。笹井さんは「凝集する操作によって、細胞がもともと持っている組織形成のプログラムをうまく引き出せた」と話す。
理研では、高橋政代リーダーらによる別のチームが、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った網膜の一部「網膜色素上皮細胞」を、悪化すると失明する「加齢黄斑変性症」の目に移植して進行を遅らせる研究に取り組んでいる。今後約2年で患者への臨床研究を始める予定だが、この病気などによる失明そのものを治すには、ひとつの種類の細胞移植だけでは無理で、12~15年は研究が必要と考えられてきた。今回の成果を受け、高橋さんは「網膜の組織ができたことで、移植への難関が取り払われた。臨床研究まで6~7年に近づいたのでは」と話している。
ES細胞や、同様の能力を持つiPS細胞からこれまでに作成できた立体的組織は、笹井さんらによるヒトES細胞での大脳皮質や、他のグループによるマウスiPS細胞での腸などがある。』
夢が一歩現実に近づいた気がします。