消毒用エタノールの濃度
消毒用アルコールは何故76~84%なの?という質問がありました。
アルコールは細胞のタンパク質変性などの化学反応で殺菌を行います。
アルコールの消毒には水分の影響が特に大きく、 100%のエタノールには皮膚の表面に到着し殺菌する前に揮発してしまうためほとんど殺菌・消毒力がないと言われています。
適度な水分を含んだ76~84%エタノールがもっとも強い殺菌・消毒力をもつと言われています。
ドリンク剤
2011年1月15日からセンター試験が開始されました。私が高校生の頃は共通一次試験と言っていました。
子を思う親の気持ち、この時期になると「子供が頑張っているから」と、栄養ドリンクを購入していただく保護者の方がおられます。
大変疲れた時やさあもう一息といった時に栄養ドリンク剤を飲むと、少し疲れが取れてもうひと頑張りできそうに気になります。
これは、栄養ドリンク剤に含まれているビタミンや糖分がエネルギーとなり、脳を活性化したものといわれています。
私達が活動するためのエネルギー源は食事から取った糖質、脂質、たんぱく質の3大栄養素にあります。通常であれば、食事から十分なエネルギー源を摂取することが出来るのですが、脳を酷使したり、筋肉を酷使したりした場合、食事の栄養だけで足りなくなり、それが疲れとして表に出てきます。
ドリンク剤にはこのビタミンと糖分が含まれており、特に栄養素をエネルギーにかえるのに必要なビタミンB群が含まれています。
ビタミンB群の中でもビタミンB1は糖質を、ビタミンB2は主に脂質を、ビタミンB6は主にたんぱく質をエネルギーにかえる働きがあります。
ビタミンB1によってかえられた糖質のエネルギーは脳の働きを活発にしますので疲労感を速く回復させる効果があります。疲労物質とも呼ばれている乳酸を減少させる効果もあります。
乳酸が残ると筋肉痛やだるさを感じることになります。
価格の高い栄養ドリンク剤には生薬類が入ったものがあります。
朝鮮人参や動物生薬、スッポンエキスなどたくさん種類があり、昔から疲労回復の目的で使われています。
ただ、栄養補給で1回に数本飲んだところで、数本分の効果が出てくる訳でもなく、また、人の体には受け皿があり、そのうけざらの許容範囲を超えたものは体の外に排出されたり、副作用として出てきたりします。
元気にしてあげたい気持ちは分かりますが、決められた亮は守って下さい。
受験生は頑張って下さい!
坐薬の使用順番
坐薬の使用する順番について質問がありました。
小児で、熱があり、薬を飲んでも吐いてしまう時、熱を下げる「アセトアミノフェン坐剤」と、吐き気を止める「ドンペリドン坐剤」が処方されることがあります。また、熱が高い時、熱性けいれんを起こしやすい小児には、熱を下げる「アセトアミノフェン坐剤」と、けいれんを予防する「ジアゼパム坐剤」が処方されることもあります。2種類の坐剤を一緒に使っても大丈夫でしょうか?
① アセトアミノフェン坐剤(商品名:アンヒバ、アルピニー、カロナール等)
② ドンペリドン坐剤(商品名:ナウゼリン、ミオナゼリン、モンロビア等)
③ ジアゼパム坐剤(商品名:ダイアップ)
医師が指示をした通りに使用しますが、一般的には、相互作用を防ぐために、次の順序で使用します。まず、②の「ドンペリドン坐剤」を入れ、30分以上経ってから①の「アセトアミノフェン坐剤」を入れます。
「ドンペリドン坐剤」は、肛門から入れると、直腸内の分泌液(水分)により溶けて、有効成分であるドンペリドンが直腸の粘膜から吸収されます。また、「アセトアミノフェン坐剤」は、肛門から入れると、直腸の体温により溶けて、有効成分であるアセトアミノフェンが直腸内の分泌液と混ざり吸収されます。「ドンペリドン坐剤」と「アセトアミノフェン坐剤」を連続して入れてしまうと、ドンペリドンの吸収が遅れてしまい、吐き気止めの効果が弱まってしまう可能性があります。
同じように、「ジアゼパム坐剤」と「アセトアミノフェン坐剤」を連続して入れてしまうと、ジアゼパムの吸収が遅れてしまい、けいれんを予防する効果が弱まる可能性があります。「ジアゼパム坐剤」と「アセトアミノフェン坐剤」を使用する場合は、まず、③の「ジアゼパム坐剤」を入れて、30分以上間隔をあけて、①の「アセトアミノフェン坐剤」を入れてください。
「ドンペリドン坐剤」を入れてから吐き気止めの効果が現われるまで、約1時間かかります。飲み薬を飲ませるときは1時間位たってからにしましょう。
小児用坐剤の使用方法などに関してご不明点がありましたならば薬剤師にご相談願います。
医薬品の個人輸入について
医薬品の個人輸入について質問が来ました。
私も詳しくなかったので、調べてみました。
最近、国内未承認医薬品の個人輸入が急増し、その安易な使用により死亡事故なども起こっているそうです。
◆ 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器を営業のために輸入するには、薬事法の規定により、厚生労働大臣の承認・許可等が必要です。
◆ 一般の個人が自分で使用するために輸入(いわゆる個人輸入)する場合(海外から持ち帰る場合を含む。)には、原則として、地方厚生局(厚生労働省の地方支分部局)に必要書類を提出して、営業のための輸入でないことの証明を受ける必要がありますが、以下の範囲内については特例的に、税関の確認を受けたうえで輸入することができます。当然この場合、輸入者自身が自己の個人的な使用に供することが前提ですので、輸入した医薬品等を、ほかの人へ売ったり、譲ったりすることは認められません。ほかの人の分をまとめて輸入することも認められていません。
○ 医薬品又は医薬部外品
※ 日本の薬事法では、養毛剤、浴用剤、ドリンク剤など、人体への作用が緩和なものについて、医薬部外品とみなされる場合もありますが、個人輸入に関しては医薬品と同様の取扱いとなります。
※ 外国では食品(サプリメントを含む。)として販売されている製品であっても、医薬品成分が含まれていたり、医薬品的な効能・効果が標ぼうされていたりするものは、日本では医薬品に該当する場合があります。
● 外用剤(毒薬、劇薬及び処方せん薬を除く。): 標準サイズで1品目24個以内
* 外用剤・・・・・軟膏などの外皮用薬、点眼薬など
* 処方せん薬・・・・・有効で安全な使用を図るため、医師による処方が必要とされる医薬品
● 毒薬、劇薬又は処方せん薬: 用法用量からみて1ヶ月分以内
● 上記以外の医薬品・医薬部外品: 用法用量からみて2ヶ月分以内
なお、医師の処方せん又は指示によらない個人の自己使用によって、重大な健康被害の起きるおそれがある医薬品については、数量に関係なく、医師からの処方せん等が確認できない限り、一般の個人による輸入は認められません。
○ 化粧品
● 標準サイズで1品目24個以内
* 例えば口紅の場合、ブランド・色等にかかわらず24個以内
○ 医療機器
※ 一般の個人が、医家向けの医療機器の輸入はできません。
● 家庭用医療機器(例えば、電気マッサージ器など)・・・・・1セット
● 使い捨てコンタクトレンズ・・・・・2ヶ月分以内
「ワシントン条約」(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)に基づき、自由に輸入できない医薬品や医薬品原料があります。
例) 犀角(サイカク:サイの角)、麝香(ジャコウ:ジャコウジカの分泌物)、虎骨(ココツ:トラの骨)、熊胆(ユウタン:クマの胆のう)等、及びこれらを成分に含むもの
「関税法」の規定により、医薬品等に関しても「知的財産侵害物品」にあたるものは輸入できません。
ネットでは向精神薬等の薬も販売されていました。
使い方を間違えたら、大きな健康被害が出る可能性があります。
医薬品の個人輸入を考えている方は、それらのリスクがあることを十二分に理解してください。
付録 厚生労働省の啓発パンフレット
OTC
私たち薬剤師や登録販売員は一般医薬品のことを、OTC(オーティーシー)と呼んでいます。
OTCは英語の「オーバー・ザ・カウンター・ドラッグ(Over The Counter Drug)」の頭文字をとった略語です。
または、大衆薬とも呼ばれることがあります。
OTCとは、薬剤師や登録販売員等からの情報をもとに、一般の人が自らの判断で医薬品を購入し、自らの責任で使用する医薬品です。